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  • 2016.12.04 Sunday
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風の吹くままに

第玖話:舞姫

 青涼さんみたいに続きを読むのやり方がわからず、いつもいきなり長々とやってましたが、そのやり方を教えてもらったのでこれからは青涼風にやっていきます!!

これでもりっこの自己満足の物語に興味ない人は楽に飛ばせます。

あ、今回は物語の中に妙で下手な詩が入っております。私めっちゃがんばって考えたよ・・・。
ずっと五七五七・・・・。まぁ一字多かったり少なかったりしますが・・・。許してください・・・。

では読みたい人だけどうぞ→

続きを読む >>
  • 2009.08.11 Tuesday
  • 14:12

風の吹くままに

第八話:月夜

 「遥斗!!こっちのお客様案内しなさい!!」

「はい!!」

雨の日の決闘(?)から二日。

あの後、梅宮は目が覚めた鶴岡と京へ帰った。

こうもあっさり帰ってくれるとは思わなかったが、すぐに江戸に来るだろう。

だから、それまで江戸中を逃げ回って、迷惑をかけまいと考えたのだが。

「はぁ!?何言ってんの!?ただで泊まっていくつもり?ここで働いて返しなさい!!!」

という亜樹の御達しがでたので、断るにも断るのが怖かった。

ということで雑事をし、客入れのために宿前でちょっとした技を見せつつチラシをばらまいて、夜には剣舞を有料で見せている。

なかなかしんどい。

その代わり、ちゃんと仕事代もでるし、宿も大繁盛だ。

「あ〜、すっごく儲かる!!ありがとう遥斗!!」

「京で花形やってたんだ。なめるなよ♪」

得意げに笑って、刀を担いで去っていった。

その背中は少しの喜びと、少しの不安が揺らいでいるようだった。



 「あら、お帰り梅宮。早いわね。」

「やぁ、桔梗。」

ほの暗い部屋にぽっと蝋燭がともされた。

梅宮と鶴岡の視線の先には黒真珠のような黒髪がすこし波打って、少し濃いめの化粧にもかかわらずけばくない、すこし怪しい雰囲気をした女が立っていた。

「あら、桜の坊やは?」

「いや、鶴岡がやられちゃって。そのまま引き返してきちゃった。」

「やられちゃったの。まあ坊やは強いものね。でもあなたなら勝てたでしょ?”雪櫻”一の剣豪さん♪」

「いや〜それがね、あいつもう戦うのはやだって言うんで。」

「あら、同情したの?」

怪しい笑みが蝋燭の灯火に浮かぶ。

「俺はね。あと、何で暗殺稼業やるんだって言うから、皆中毒症状に近いって言っといた。」

「中毒!?もう少しましな表現ないの?」

桔梗は手を口元にあてて声をころして笑いながら言った。

「面倒だったんだよ。でも今思えばもっと違う言い方があったかなと思うけどね。」

「そうね、私達はこれしかできないってのが正解ね。」

「芸はできるよ。」

苦笑まじりに言って、そのまま窓から月を見上げた。

外はもう梅雨明けの兆しか、雲ひとつない見事な月夜だった。

  • 2009.07.18 Saturday
  • 15:56

風の吹くままに

第七話:反対者

  「よぉ、久しぶりだなぁ梅宮に鶴岡。といっても、鶴岡とはあまり会ったことなかったか。」

二本の剣を抜いた。柄の一番端には二つの小さい輪と一つの大きな輪を赤い紐で飾っている。

「脱走してもなお、その剣は捨てなんだか。服の桜が白から桃色に変わっているのには悲しみを感じたぞ。」

梅宮はうれしそうに言った。

「そんな言い方しても帰らないからな。」

「だから力ずくでもって連れて帰るからな。」

そう言って二人はその場に静かに立った。

少し足を動かすと、畳の擦れる音がする。

三人が構えると空気が一瞬で変わった。

「ここで暴れる気か?」

その殺気にまみれた空気は他の者をも近づけぬというものだが、その男はものともせずに入ってきた。

「那津・・・」

「亜樹は今買い物に出ているが、暴れると後がしんどい。」

「わかった。」



所変わって何もない丘。

決闘とはまさにこういう所でやるものだろう。

しかも雨まで降っている。

「まるで芝居のようだね。」

相も変わらずにこにこと笑顔の梅宮が言う。

「で、その方は桜木の助太刀をするか?」

鶴岡はぎっと那津を睨んだ。

「まっさか。俺はただの人ですから。」

「嘘つけ。お前、忍だろう?」

鶴岡はさらに機嫌の悪い顔をした。

「手出しはしない。いいだろ?遥斗。」

「絶対にするんじゃねぇぞ。」

「了解。」

そして那津はすっとさがった。

「梅宮、お前も手出しすんじゃねぇぞ。」

「どうぞ、ご勝手に。」

そう言って梅宮も溜息をしつつさがった。

「いいのかい?槍の鬼さん。俺は強いよ?」

槍の鬼とは鶴岡の異名だ。その強さと風貌の怖さからついた名だ。

「ふんっ、お前など一ひねりだ。」

そう言って二人が構える。

雨が少し和らいだ瞬間二人は動いた。

鶴岡の槍が遥斗の頭上に振り下ろされる。

それを二本の剣で受け止めた。

そのまま弾かれるように二人は後ろへ飛びのいた。

そして次は遥斗が右の剣で攻撃をしかけた。

鶴岡は走って向かってくる遥斗の剣を槍でうけとめる。

「なんだこんなもんかよ。」

ふんっと鶴岡は鼻で笑った。

しかし、遥斗は笑っていた。

「それはこっちの台詞だぜ。」

かがんだ体勢から鶴岡を上目に睨んで、左手の剣を振り上げた。

それをよけきれなかった鶴岡は少しよろめいた。

「まだまだぁ!!」

そう言って突きの構えでかかってきた。

「この突きから逃れた者はかつて一人しかいない!!その最強の突き、受けてみよ!!!」

走ってくる鶴岡に向かいもせず、ただ遥斗は静かに立っていた。

「一人でも破られた時点で最強じゃねぇんだよ。」

一瞬瞳が光ったと思うと、その姿は一瞬にして走ってくる鶴岡の後ろにあった。

鶴岡は今目指して走っていた獲物が突然消えたことによって動きが止まった。

「な・・・・」

そっと後ろを振り返るとまるで鏡のようにさっきと同じ体勢で背後に立っていた。

「甘かったな。」

そのまま背中に刀ですごい勢いで切りつけた。

「がっっはっ・・・!」

しかし、血は出ない。

「俺は無駄な殺生はしない。お前は決して悪い奴じゃない。だからもう・・・・・・」

「暗殺稼業なんざやめちまえってか?」

梅宮があきれたように言った。

「そうだ。あんな仕事、この世のもんじゃねえ。」

「だからって仲間倒しちゃうなんて。」

「・・・・・は?」

梅宮はこちらに歩み寄って、そのまま遥斗を通りすぎて倒れた鶴岡の前でしゃがんだ。

「まぁ、こいつはお前を殺すつもりだったようだが・・・。」

「お前は違うってか?」

「俺だってこの仕事が好きってわけじゃない。いや、好きな奴なんかいないんだ。ただ、一度やってしまうと中毒のようになってしまう。」

「何が言いたい?」

すくっと梅宮は立ち上がって遥斗の方を向いた。

「俺もお前と同じ。他の奴らみたいに中毒症状にはならなかった。そしてこの仕事が大嫌いだ。だがな、帰らなきゃならねぇ。」

それを聞いた遥斗ははっと鼻で笑って怒鳴った。

「なら帰って伝えろ。俺を連れ戻したかったら全員引き連れて江戸まで来いってな!!」

  • 2009.07.04 Saturday
  • 20:37

風の吹くままに

第陸話:桜の葉

 梅宮と鶴岡が来てから二日がたった。

「まだ居る気かいな・・・。ええかげんあきらめて京で詩っとれ。」

ぼそっとそう呟くと、亜樹がたずねてきた。

「詩?」

「そうや。梅宮は三味線と詩担当やねん。鶴岡は太鼓とかの担当。でも俺はあまり鶴岡のことを知らない。」

「どうして?」

「あいつが入ってすぐ俺は逃げたからな。」

「へぇ〜。あなたは剣舞なのよね?」

「おう。花形やからな。」

一瞬の沈黙が降りた。

「花形・・・?」

「おうよ。」

「花形ってのはかっこいい、素敵な人が立つ場所よ?どう考えてもあなたじゃなくて梅宮さんの方が花形って感じよ。」

「黙らっしゃい。あいつは花形にはなれないんだよ。」

「何故?」

そう言って遥斗をみると、これ以上何も聞くなという雰囲気だったのでそれ以上聞かなかった。



「ここで働いている黒髪の女、気になるな・・・。」

いきなり鶴岡がそう言った。

それを聞いた梅宮は遠い目をした。

「な、何故そんな目で見る・・・?」

梅宮は半目でぼそっと言った。

「お前・・・あんな地味な子がいいのか・・・・。」

それを聞いた鶴岡がぶっとふいた。

「あ、アホか貴様!!そういう意味じゃない!!」

「わかってるよ。桜木だって言うんだろう?怪しいにもほどがある。それに・・・」

目線を下から窓の外の雨に濡れた桜の葉に移してにやっと笑った。

「瞳の色はどうしようもないからな・・・・。」



それをふすま越しに聞いていた遥斗は、いつもの派手な服に着替え、刀を持ってふすまの前で構えた。

「来たか。いるんだろう?遥斗。」

中から梅宮が呼ぶ。

そして勢いよくふすまを開けた。

ぱんっ、と音を立てて開いたふすまの向こうには正座した梅宮と胡坐をかいた鶴岡が静かに座っていた。

「やぁ、久しぶり。探したよ。」

そう言
  • 2009.06.28 Sunday
  • 20:23

風の吹くままに

第伍話:変装

  「だぁかぁら〜、やらへんって!」

「なんでよ〜その自慢の剣舞で客呼んで!」

「だめったらだめ〜!!」

遥斗は亜樹にねだられていた。

「どうしてそこまで拒む?」

那津が書を片手に溜息まじりに言った。

それを聞かれた遥斗はためらってからぼそっと呟いた。

「・・・追われているからや・・・。」

「誰に?」

そう亜樹が聞いたとき、門の方から声がした。

「もし、ひとつたずねたいのですが。」

「はいは〜い。」

そう返事をして亜樹は門へと小走りに向かった。

そして遥斗の表情は険しいものとなった。

「どうした?」

「追ってが来たのか・・・?」

そう呟いて音もたてずに窓に向かって歩き、壁で身を隠しながら窓をのぞいた。

そこには一人の青年と中年の男が立っていた。

 

「すいません、ここに赤い髪の桜木という男はいますか?」

青年はにこにこしながら問いかけた。

「あの、あなたは?」

「あぁ、私達はその男の兄なんです。弟が家を脱走しまして。」

(さっき遥斗は追われてるって・・・・。ここは嘘をつくのがいいかしら。)

「いえ、残念ながら存じ上げません。」

「・・・・・そうですか。では見かけたらお知らせください。」

そう言って、青年は頭を下げた。

「はい。」




「去ったか・・・。あれは梅宮と鶴岡か・・・。また厄介な・・・・」

「梅宮は知らんが鶴岡は聞いたことがある。たしか京で有名な槍使いじゃないか?」

那津が反対から外を覗きながら言った。

「ああ。」

「何故そんな大物に狙われている?」

「・・・・・。」

黙っていると那津がまた書を開いて何かを探すようにぱらぱらと紙をめくって、あったとつぶやいた。

「雪櫻。」

その言葉を聞いた瞬間遥斗は那津をにらんだ。

「調べたのか・・・!」

「忍だからな。」

遥斗はしばらく黙ってから静かに那津に問うた。

「どこまで調べた・・・」

「雪櫻、総勢7人という少人数で結成されている組。表では道端で芸をやってのける芸人。お前はその中の一人だな・・・?」

「・・・・」

那津は沈黙を肯定と認識して話を進めた。

「だが、裏では暗殺などを手がけているとか。まぁ後ろに誰がいるかまではわからないが。」

「雪櫻の裏はそこまで漏洩しているのか?」

「忍をなめるな」

そう言ってぱたんと書を閉じた。

「なめてはいないさ。しっかし、まいったなぁ・・・・」

「・・・・・・逃げ切りたいか?」

「まぁ・・・・。」

「そうか。なら・・・・」

那津の目が怪しく光った。

「・・・・え?」



「これでよし。」

「いやいやいやいや・・・これは・・・」

赤い髪は長い黒髪の鬘に、派手な服は質素な女物。

「似合うぞ、遥斗。」

那津がにやっと笑う。

「お世辞でも嫌やな・・・。」

「俺だって仕事で女装もするんだ。文句言うな。」

「そういう問題か・・・?」

遥斗は梅宮と鶴岡から身を隠すため、女装してここで働いているふりをすることにした。

この案は那津が提案し、亜樹が楽しそうに準備をした。

「これで大丈夫。」

「まじかい・・・。」

「また明日あたりに奴は来るだろうからな。気をつけろ。」



そんな那津の予想はあたった。

こともあろうか宿に泊まりにきた。

「昨日のお二方ですね。弟さんは見つかりましたか?」

「いいえ、なので見つかるまでここを拠点にしようかと。」

「また何故ここに?」

あまり深追いするとあやしまれるがこれくらいなら大丈夫だろう。

「目撃情報によると、この近辺だということなので。」

「早く見つかるといいですね。」

そう言って亜樹は二人の部屋を出た。

そして廊下を掃除していた遥斗がこっちをみていたのでそちらに向かった。

「どうだ?」

「どうもこうも、あんたを見つけるまで帰りそうにもないわ。」

「まいったな・・・・。」

「あんましゃべっちゃだめよ、ばれるから。」

「あぁ。」
  • 2009.06.27 Saturday
  • 20:11

風の吹くままに

補足

 私もりっこが書いている物語、『風の吹くままに』は江戸時代ですが、史実とか実際の人物とか全く関係ございません。

だからかなりてきとうです。

わかっているとは思いますが、勘違いされるのもアレなのでここで補足しておきます。

まぁ、普通江戸ではサービスとか横文字は出ませんし。

もう江戸っぽい異世界で考えてください。

あと、この話は私がほぼ自己満足で書いているものなので、台詞が多いです。

すいません。

文章力がないので話もわかりにくいと思いますが、気が向いたら読んでやってください。
  • 2009.06.25 Thursday
  • 21:51

風の吹くままに

第四話:双剣

 梅雨のときにたまに晴れるとうれしいものだ。

だが、今年の梅雨はサボり気味だ。

やたら晴れる。

「暑い〜・・・・・。」

すべての文字に濁点をつけたような声が、ぼろい宿”秋桜”の一番上の階の部屋から聞こえてきた。

そう、ここは亜樹の家で、宿屋を営んでいる。

ついこの間まで向かいに人気の宿屋があったばかりにまったく儲からなかった。

しかし、その向かいの宿屋は、この暑いとうめいている男、桜木遥斗によって悪事をあばかれたのですでに空き家になっている。

「遥斗、どうして”白梅”が脱税してるってわかったの?」

「え〜?なんとなく。」

「は・・・?」

聞き返すとこっちを向いてだるそうに寝転んでいたのを寝返りをうって反対側を向いて空気を抜いたような言い方でもう一度同じ返事をした。

「なんとなくって・・・・」

「それより亜樹、この部屋カビ臭い。」

「しょうがないでしょ、梅雨なんだし。気になるなら自分で何とかしなさいよ。」

「そうか、ここが人気ないのがわかった。客に対して掃除しろなんていう宿なんかそりゃ儲からないわ。」

「あんたもうここの居候でしょ?あと関西弁忘れてるわよ。」

「あ。」

そう言ってむくっと起き上がった。

「なぁ、俺以外泊まってる人おる?」

「・・・・いないわよ。悪かったわね。」

「・・・・ふぅん・・・。」

すると遥斗は立ち上がって刀を持った。

その刀はとても不思議な形をしていた。

両端に柄がる。

「へんな刀。それじゃあ切れないじゃない。それに服も派手だけど、刀も派手ねぇ。」

「あぁ、これか?これはなあ・・・」

そう言ってすぅっと刀を両端から抜いた。

「俺は双剣使いや。あ、これ誰にも言うなよ?」

「それは俺もか?」

声の主は那津だった。

「やぁ那津。忍みたいに気配隠して。怖いがな。」

「忍だからな。」

「あれ、亜樹も知ってたんか。」

「うん。だって私の忍としての師匠が那津だもん。」

一瞬の沈黙をおいて遥斗の叫び声があがった。

「え〜!!!!?この俺が何も気づかへんとは・・・。」

「素質がないからもう昔の話よ。」

「なるほど。」

「で、その派手な双剣で何するの?」

那津が少し興味を持っているようだ。

「へぇ、那津が興味を持つなんて珍しいわね。」

「この剣で金儲けしてたのさ。」

「何?」

「剣舞に近いかな。道とかで派手にやって儲けたんや。」

「へぇ〜」

亜樹の目がきらりと光った。



その頃江戸の別の場所

「もし、この間まで”白梅”で働いていましたか?」

声をかけられて振り返ると、美青年が笑っていた。

この笑顔に答えぬ女はいないだろう。

「は、はいっ。」

女は顔を真っ赤にして答えた。

「そこに赤髪の男いませんでしたか?」

「は、はい。」

「いつごろに?」

「事件の前日にいらっしゃいました。関西の言葉も使うので印象的だったのでよく覚えております。」

「名は?ご存知ですか?」

すると女は少し躊躇して言った

「あの・・・あなたは?」

「あぁ、これは失礼。私は梅宮と申します。探しているのは私の弟でして。」

「そうでございましたか。確か桜野という名でございました。」

「そうか、ありがとう。」

にこっと笑って去っていった。



「どうだった、梅宮よ。」

「桜野と名乗っていたようだ。だが関西弁だったらしいからはずれか・・・」

「いや、欺こうとしているだけだろう。」

「鶴岡、桜木は手ごわいぞ。」

鶴岡とは梅宮と話している中年の男だ。

「この俺の強さ、お前もよく知っているだろう。」

「あまり己の強さを過信するなよ。いつか身を滅ぼすぞ。」

先ほどの笑顔とは程遠い怖い顔をして鶴岡のごつごつしたたくましい背中をにらんだ。

「ふんっ」

鶴岡は鼻で笑って去っていった。

「・・・死ぬなよ・・・」

  • 2009.06.25 Thursday
  • 20:09

風の吹くままに

第参話:雨

  「桜野様、お部屋の御用意ができました。どうぞこちらです。」

「は〜い」

桜野とは偽名だ。

「行くぜ、毬之助。」

遥斗は小声でそう呟いた。



「遥斗大丈夫かな・・・。」

「さっき会った人をそんなに心配するなんてお人よしだね、亜樹は。」

「・・・・悪い・・?」

「いいや?じゃ、俺はちょっと用があるから。」

「うん。また明日。」

そう言って亜樹に背を向けた。

「白梅、か・・・。」

那津の眼鏡の奥の瞳が怪しく輝いた。



「ほぁ〜、江戸もすごいな・・・。」

遥斗の目の前には豪華な夕食がならんでいた。

「こんな豪勢な食事は京以来やわ・・・。」

「本日のご夕食は越前より取り寄せた蟹の鍋にございます。なにかございましたらお呼びください。」

そう言って女中はさがっていった。

「確かにここはええなぁ・・・。」

「にゃん♪」

「おお、毬之助も気に入ったか。だが・・・・・・」

やはりここからは匂うのだ。悪人の匂いが。



夜中

「よし・・・調査調査♪」

そう言ってひょいっと窓から瓦屋根へと飛び乗った。

向かうは”白梅”の主人の部屋。

屋根から屋根裏へと忍び込んで、覗いた。

「こりゃ大当たりだな。やっぱりやってやがったな・・・脱税ってやつか・・・。」

そしてそのまま部屋へ戻った。

「さて、と。どうしたものかな・・・。」

そんなことを考えていると、外は雨になった。

「雨、か・・・。そうか、もう梅雨の時期だもんな。」

そう呟いてふと思いついた。

「雨、か・・・。」



翌日

「よっしゃ毬之助、江戸を散歩しがてら買い物いくか!」

「にゃあ!」

そう言って外に出ると亜樹が水遣りをしていた。

「おはようさん、亜樹。」

「ああ、おはよう。どうしたの?こんな朝早くから。」

「ちょいと買い物に。」

「あ、ついていってもいい?私もおつかいがあるから。」

「お、じゃあ道案内たのむわ。」

そういうことで二人と一匹で買い物へと出かけた。

江戸の町はとてもにぎやかで楽しい。

「江戸も京と似てるなぁ。」

「みんな元気でしょ?私ここのにぎやかさが好きなの。」

「わかるわ〜。」

そう言いつつ周りを見渡した。

(まだいないな・・・。)




遥斗が買ったものは護身用の小さい爆弾みっつ。

それをみた亜樹は驚いた。

「どうしてそんな恐ろしいものを・・・」

「ん?ちょっとな♪あ、今日の夜中、起きとけよ♪」

「どうして・・?」

そう聞くと遥斗はまた楽しそうに笑って言った。

「今夜しか見れない雨が降るから♪」



夜中

昨日と同じように忍び込んだ遥斗は今日買った爆弾を持って税を隠している部屋に入った。

「誰もいない・・・・?」

いや、誰かいる。

「誰だ。」

すると後ろから黒い影が動いた。

そしてほの暗い月影から出てきたのは忍びのようだった。

「あれ、どっかで見た顔だな。」

「俺もだ。」

「物好きさん、あんたやっぱり忍びか。」

すると忍びは頭に巻いていた黒い布をとった。

その布の下から現れた顔は眼鏡こそしていないが昨日亜樹の家にいた那津だった。

「やっぱり気づいてたか。桜木遥斗さん。」

「まあな。で?あんたは何しに来た?」

「ここの旦那の悪事を確認しにきたんだが・・・あんたのやることのが面白そうだ。」

「おや?意外と派手なことが好きなんだねぇ。」

にやっと笑うと那津も軽く笑った。

「じゃ、この紐を使え。これで一斉に爆発させるぞ。」

そう言って那津が取り出したのは長い紐だった。

「なるほど。逃げること考えてなかった。じゃあやるか。」



丑の刻。

人一人歩いていない。

「も〜、なんで起きとかなきゃいけないのよ・・・・。」

今にも落ちそうな目蓋を必死に開けながら亜樹は起きていた。

が、次の瞬間向かいの宿から爆竹の音で一気に目が覚めた。

「え!?」

その爆竹の音で近隣の人々が集まってきた。だが爆竹が宿の前に並んで一定の距離にしか近づけない。

そして爆竹が収まった瞬間、ドッカーン!!!!と宿の一部が爆発した。

爆弾はほんの一部を吹き飛ばしただけで、近隣には被害はおよばなかった。

そして、空から光る何かが降ってきた。それは

「お金・・・・?」

そう、脱税して貯めていたお金だった。

爆発とともに爆風で舞い上がったお金がまるで雨のように降ってきたのだ。



「いや〜、すごいなぁ。」

遥斗が関心する。

「こんだけ派手に人前で悪事がばれたんだ。これで”白梅”もおしまいだな。」

金の雨を降らした犯人二人は亜樹の家の屋根にいた。

「しかし、どうしたものかな・・・。」

那津が苦笑いをした。

「なにが?」

「いや、忍びとして親父にどう報告しようかと。」

「今回のことは俺が一人でやったんだ。そう報告しとけ。」

「・・・お言葉に甘えて。」



”白梅”の主人は脱税の罪でつかまり、”白梅”もつぶれた。

誰が主人の罪をあばいたか。それは結局誰もわからなかった。

知るのは遥斗本人と那津、そして亜樹の三人だった。

「ねぇ、あの時”白梅”にいた人たちはどうしたの?」

「一回目の爆竹でみんな非難したんや。」

「じゃああんたたちはどうやって逃げたの?」

「あの宿は人気があるから人も沢山いたんや。逃げる時に人が一人二人増えようと誰もわからへんやろ。」

「なるほど。」



梅雨の時期に降った金の雨は江戸では瞬く間に広がった。

「金の雨、か・・・。」

一人の中年位の男が呟く。

「手口は爆弾のようだが・・・。」

こちらは青年だ。

「いや、こんなことするのはあいつしかいない。たとえ刀を使っていなくてもだ。」

「桜木遥斗・・・・か。」
  • 2009.06.20 Saturday
  • 22:31

風の吹くままに

第弐話:物好き

 月城亜樹と名乗った少女につれられてやってきたのは彼女の家だったが。

「え〜っと、ここは?」

倒れた(伸びた)少女の父を担いでついた場所は宿というよりはさびれた屋敷だ。

とても宿とは思えない。

「うちよ。宿屋なのよ。」

「宿屋ねえ・・・。」

「・・・ぼろいっていうんでしょ?」

「わかってるやん。」

そう言うとぼかっと殴られた。

「しょうがないのよ・・・・。」

「どうして?」

すると少女は向かいを指差した。

その先をたどると、そこには綺麗で立派な宿が建っていた。

客足も絶えない。

「なんか今すごく人気で、サービスがいいんだって。」

「なるほどなあ。そりゃ俺でもあっち行くわ。なあ毬之助。」

「にゃあ♪」

「わるかったわね。そりゃサービスもできるものならしているわ。」

「?なんでやらへんの?」

「お金がないのよ。」

「ほう。なんで?」

「客が入らないからよ。こんなぼろいし・・・。来るのは物好きだけよ。」

「物好き?」

「誰が物好きだ。」

ふいに後ろから声がした。

振り向くとそこには一人の少年が立っていた。

「誰?物好き?」

「違う。俺は海早。海早那津だ。ここには大きい蔵があるからそこに俺の本とか入れてもらっているんだ。だからこうしてここに来ている。決して物好きじゃない。」

黒いさらさらの髪に眼鏡をしたいかにも知的な男子だ。

「那津。もう帰るの?」

「いや、そろそろ親父さん連れてくるかなと思って。で?それ誰?」

「それやない。遥斗や。桜木遥斗!」

「ふ〜ん。遥斗ね。で?その無理やりの関西弁は何?」

「え・・・?」

それを聞いた遥斗の表情が一瞬こわばった。

「・・・・・何のこと?」

「いや、俺は何年か前に関西にいたが・・・わずかにお前の関西弁は発音が違う。」

すると遥斗はくしゃっと前髪をかきあげて笑った。

「かなんな・・・。正解。俺は別に関西人じゃない。だが、人前やからまがいなりにも関西弁使わせてもらうで。」

「どうして?」

「内緒や。・・・それより、君も普通じゃないよなぁ?」

すると那津は不適に笑っただけで何も言わなかった。

「ちょ、私置いてけぼり?」

ずっとそれを横で聞いていた亜樹は不機嫌そうに二人をにらんだ。

「ごめんごめん。・・・それよりあの宿匂うなぁ・・・。」

「は?」

そのとき亜樹が見た遥斗の表情は楽しそうだった。

まるで獣のような顔をして。

「亜樹ちゃん、俺あの宿に泊まるよ。」

「は!?」

「いや、これは面白そうだなと。」



その後、遥斗は向かいの宿、”白梅”という宿に泊まることにしたのだった。
  • 2009.06.20 Saturday
  • 21:01

風の吹くままに

第壱話:出会い

  自分の生き方は自分で決める。

そう、野良猫のように何にも縛られず自由に生きたい。

そう言って家を飛び出てはや一ヶ月。

お金は必要な分だけ持っているので宿や飯には困らない。

だが、心が寂しい。

そこで。

「にゃー」

「おー、食うか。もうすぐ江戸やからこの魚で辛抱せぇな。」

「にゃん」

「おーし、ええ子や毬之助。」

毬之助とはこの猫の名前だ。

道中拾った子猫で、魚をやったところ懐かれてそのままいっしょに江戸まで向かっている。




さてこの関西の言葉を使う男。

いや、男というよりは少年と表現したほうが正しいだろう。

この少年、左耳に黄色い石の耳飾に赤い髪、そして翡翠のような瞳。

また、服装も少し派手な侍。

なので行き交う人々はすれ違うたびに彼を振り向いた。

そんな少年の名は桜木遥斗。

道に迷いに迷ってやっと江戸の手前まで来た。

「長かったな〜。」

そんなことを猫に呟きながら話していると、一人の男とぶつかった。

「ああ、ごめんよ。」

そう言って男は去っていこうとした。

が、遥斗はその瞬間を見逃さなかった。

「ちょい待ちぃ、おっちゃん。俺の金返しや。」

「は?何のことです?」

「とぼけてもあかんで。俺の故郷の京はそんなもん通じひんからな。気ぃついたら切られてまう所やからなあ。」

「ちっっ」

男は逃げ出した。

「毬之助、ちょおここで待っとってな。すぐ戻るわ。」

そう言ってものすごい速さで男に追いつくと、男の足を引っ掛けた。

すると男はどすんと前に盛大にこけた。

そのまま遥斗は男に乗りかかって財布をとりかえした。

「これ、返してもらうで。」

そう言って男を放そうとした時、後ろから待ったがかかった。

「ちょっと待ってお侍さん!その男とらえとって!」

「は?」

「その男、私の父なの!」

「へ?」

「ちょっとお侍さんもとばっちりうけるけど気にしないでね!」

「え、ちょ、」

「こんのぉ・・・・莫迦親父がぁぁぁぁ!!!!」

少女は自分の父を遥斗ごと思いっきり蹴り飛ばした。

そのまま遥斗と男は道にすべり倒れた。

「なにすんじゃこのアマ!」

遥斗はしたたかぶつけた頭をおさえながら怒鳴った。

「ごめんね〜あなた丈夫そうだからそのままいっちゃった。」

そう言って笑う。

「笑い事かい・・・それよりあんたの親父さん伸びてもたで。」

「あ〜大丈夫大丈夫。」

そう言うと少女は伸びた父をよっこらせとかついだ。

「ほら、あなたも反対側支えて!」

「は?俺は江戸に行くんや。こんなとこで・・・」

「ああ、私江戸のとある宿やってるからちょうどいいわ。おねがい!」

「・・・・。」




そしてそのまま江戸へと向かうのであった。





  • 2009.06.14 Sunday
  • 21:06

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