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  • 2016.12.04 Sunday
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風の吹くままに

第参話:雨

  「桜野様、お部屋の御用意ができました。どうぞこちらです。」

「は〜い」

桜野とは偽名だ。

「行くぜ、毬之助。」

遥斗は小声でそう呟いた。



「遥斗大丈夫かな・・・。」

「さっき会った人をそんなに心配するなんてお人よしだね、亜樹は。」

「・・・・悪い・・?」

「いいや?じゃ、俺はちょっと用があるから。」

「うん。また明日。」

そう言って亜樹に背を向けた。

「白梅、か・・・。」

那津の眼鏡の奥の瞳が怪しく輝いた。



「ほぁ〜、江戸もすごいな・・・。」

遥斗の目の前には豪華な夕食がならんでいた。

「こんな豪勢な食事は京以来やわ・・・。」

「本日のご夕食は越前より取り寄せた蟹の鍋にございます。なにかございましたらお呼びください。」

そう言って女中はさがっていった。

「確かにここはええなぁ・・・。」

「にゃん♪」

「おお、毬之助も気に入ったか。だが・・・・・・」

やはりここからは匂うのだ。悪人の匂いが。



夜中

「よし・・・調査調査♪」

そう言ってひょいっと窓から瓦屋根へと飛び乗った。

向かうは”白梅”の主人の部屋。

屋根から屋根裏へと忍び込んで、覗いた。

「こりゃ大当たりだな。やっぱりやってやがったな・・・脱税ってやつか・・・。」

そしてそのまま部屋へ戻った。

「さて、と。どうしたものかな・・・。」

そんなことを考えていると、外は雨になった。

「雨、か・・・。そうか、もう梅雨の時期だもんな。」

そう呟いてふと思いついた。

「雨、か・・・。」



翌日

「よっしゃ毬之助、江戸を散歩しがてら買い物いくか!」

「にゃあ!」

そう言って外に出ると亜樹が水遣りをしていた。

「おはようさん、亜樹。」

「ああ、おはよう。どうしたの?こんな朝早くから。」

「ちょいと買い物に。」

「あ、ついていってもいい?私もおつかいがあるから。」

「お、じゃあ道案内たのむわ。」

そういうことで二人と一匹で買い物へと出かけた。

江戸の町はとてもにぎやかで楽しい。

「江戸も京と似てるなぁ。」

「みんな元気でしょ?私ここのにぎやかさが好きなの。」

「わかるわ〜。」

そう言いつつ周りを見渡した。

(まだいないな・・・。)




遥斗が買ったものは護身用の小さい爆弾みっつ。

それをみた亜樹は驚いた。

「どうしてそんな恐ろしいものを・・・」

「ん?ちょっとな♪あ、今日の夜中、起きとけよ♪」

「どうして・・?」

そう聞くと遥斗はまた楽しそうに笑って言った。

「今夜しか見れない雨が降るから♪」



夜中

昨日と同じように忍び込んだ遥斗は今日買った爆弾を持って税を隠している部屋に入った。

「誰もいない・・・・?」

いや、誰かいる。

「誰だ。」

すると後ろから黒い影が動いた。

そしてほの暗い月影から出てきたのは忍びのようだった。

「あれ、どっかで見た顔だな。」

「俺もだ。」

「物好きさん、あんたやっぱり忍びか。」

すると忍びは頭に巻いていた黒い布をとった。

その布の下から現れた顔は眼鏡こそしていないが昨日亜樹の家にいた那津だった。

「やっぱり気づいてたか。桜木遥斗さん。」

「まあな。で?あんたは何しに来た?」

「ここの旦那の悪事を確認しにきたんだが・・・あんたのやることのが面白そうだ。」

「おや?意外と派手なことが好きなんだねぇ。」

にやっと笑うと那津も軽く笑った。

「じゃ、この紐を使え。これで一斉に爆発させるぞ。」

そう言って那津が取り出したのは長い紐だった。

「なるほど。逃げること考えてなかった。じゃあやるか。」



丑の刻。

人一人歩いていない。

「も〜、なんで起きとかなきゃいけないのよ・・・・。」

今にも落ちそうな目蓋を必死に開けながら亜樹は起きていた。

が、次の瞬間向かいの宿から爆竹の音で一気に目が覚めた。

「え!?」

その爆竹の音で近隣の人々が集まってきた。だが爆竹が宿の前に並んで一定の距離にしか近づけない。

そして爆竹が収まった瞬間、ドッカーン!!!!と宿の一部が爆発した。

爆弾はほんの一部を吹き飛ばしただけで、近隣には被害はおよばなかった。

そして、空から光る何かが降ってきた。それは

「お金・・・・?」

そう、脱税して貯めていたお金だった。

爆発とともに爆風で舞い上がったお金がまるで雨のように降ってきたのだ。



「いや〜、すごいなぁ。」

遥斗が関心する。

「こんだけ派手に人前で悪事がばれたんだ。これで”白梅”もおしまいだな。」

金の雨を降らした犯人二人は亜樹の家の屋根にいた。

「しかし、どうしたものかな・・・。」

那津が苦笑いをした。

「なにが?」

「いや、忍びとして親父にどう報告しようかと。」

「今回のことは俺が一人でやったんだ。そう報告しとけ。」

「・・・お言葉に甘えて。」



”白梅”の主人は脱税の罪でつかまり、”白梅”もつぶれた。

誰が主人の罪をあばいたか。それは結局誰もわからなかった。

知るのは遥斗本人と那津、そして亜樹の三人だった。

「ねぇ、あの時”白梅”にいた人たちはどうしたの?」

「一回目の爆竹でみんな非難したんや。」

「じゃああんたたちはどうやって逃げたの?」

「あの宿は人気があるから人も沢山いたんや。逃げる時に人が一人二人増えようと誰もわからへんやろ。」

「なるほど。」



梅雨の時期に降った金の雨は江戸では瞬く間に広がった。

「金の雨、か・・・。」

一人の中年位の男が呟く。

「手口は爆弾のようだが・・・。」

こちらは青年だ。

「いや、こんなことするのはあいつしかいない。たとえ刀を使っていなくてもだ。」

「桜木遥斗・・・・か。」
  • 2009.06.20 Saturday
  • 22:31

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